改造B-CASカードの販売で送検、台湾法が規制する解除と機器の供給
← 時事解説コラム一覧へ時事解説コラム

改造B-CASカードの販売で送検、台湾法が規制する解除と機器の供給

約4分

ニュースをきっかけに執筆した記事です。公開日以降に状況や法令が変わっている可能性があります。

フォーカス台湾は2026年10月13日、日本の衛星放送を無料で視聴できるよう改造したB-CASカードを販売した疑いで、業者ら4人が台中地検に送致されたと報じました。刑事警察局の同日発表によると、捜索は6月23日に行われています。今回公表されたのは捜査の経過で、有罪判決ではありません。

台湾で日本の放送を受信する機器を輸入・販売する事業者にとっては、映像を複製したかどうかとは別に、機器にアクセス制御を回避する機能があるかどうかが問題になります。機器が実際に動くことや、販売元が利用できると説明したことだけでは、権利者からの許諾があるとは判断できません。

解除する行為と、解除用の機器を供給する行為

台湾の著作権法第80条の2第1項は、著作権者が著作物への無断アクセスを防ぐために設けた技術的措置を、適法な許諾なく解除・破壊したり、別の方法で回避したりすることを禁じています。著作物へのアクセスを禁止・制限する措置についての規定であり、機器のあらゆる設定変更を禁じるものではありません。

同条第2項は、そのような措置を解除・破壊・回避するための機器、部品、技術、情報などを、適法な許諾なく製造・輸入すること、公衆が使えるように提供すること、公衆向けのサービスを提供することを禁じています。機器を自分で改造していなくても、輸入や提供という行為が問題になり得ます。

ただし、同条第3項には、セキュリティー試験や暗号研究など、法律が定める例外があります。例外の具体的な内容は主管機関が定める仕組みで、「研究用」「個人用」という呼び名だけで適用の有無は決まりません。

第96条の1の刑罰と、損害賠償の違い

第96条の1第2号が処罰の対象にしているのは、第80条の2第2項の違反です。刑は1年以下の有期徒刑、拘役、または2万〜25万台湾元の罰金で、罰金が併科される場合もあります。第1項と第2項の区別を省いて、カードを購入して視聴した人全員にこの刑罰が科される、と読むことはできません。

一方、個人による輸入も、国内で購入して視聴する行為とは異なります。「販売業者ではない」という理由だけで、実際にした行為の検討が不要になるわけではありません。誰が製造し、誰が輸入・提供したのかによって、該当する規定が変わります。

民事上の責任については、第90条の3が、第80条の2に違反して著作権者に損害を与えた場合の賠償責任を定めています。共同で違反した複数人には連帯賠償責任が生じます。刑罰の対象と一致するとは限らず、違反行為の有無と、それによって生じた損害は、別に検討する必要があります。

取引記録に機器の仕様、供給元、許諾の範囲が残っていれば、何を輸入・販売し、どの権限に基づいて扱ったのかを説明する材料になります。販売広告の「無料で見られる」という表示だけでは、その許諾を裏付けられません。

架空の情景

参照資料

ニュース・法令確認日:2026年10月14日。台湾法に関する一般情報です。個別の機器や行為の適法性、捜査対象者の責任を判断するものではありません。

よくある質問

今回の4人には、すでに有罪判決が出ていますか?
引用した2026年10月13日の報道が伝えているのは、著作権法違反などの疑いによる検察への送致です。同日の警察発表は捜索と捜査の経過を公表したもので、侵害資料の確認後に台中地検へ送致する方針を示しています。有罪判決を伝えたものではありません。
カードを買って視聴した人にも、第96条の1の刑罰が科されますか?
購入や視聴だけを理由に一律に当てはめることはできません。第96条の1第2号が参照するのは、第80条の2第2項の製造・輸入・公衆への提供などです。本人が実際にした行為によって検討は変わります。視聴者であればあらゆる責任を免れる、という意味でもありません。
刑罰の対象にならなければ、損害賠償も不要ですか?
別の問題です。第90条の3は、第80条の2への違反によって著作権者に損害を与えた場合の賠償責任を定めています。違反行為と、それによって生じた損害を検討する必要があります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。

台湾の改造B-CASカード事件と著作権法の刑罰・損害賠償 | 昊鼎国際法律事務所