台湾で性被害に遭ったとき、受診・証拠保全・相談をどう進めるか
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台湾で性被害に遭ったとき、受診・証拠保全・相談をどう進めるか

約6分

警察に話すか決められない段階でも、台湾で診療を受けることはできます。医療機関は正当な理由なく性被害者の診療や診断書の発行を拒めません。診療時のプライバシーへの配慮も法律に定められています(性侵害犯罪防治法第14条)。

まず安全と体調を確かめます。相手が近くにいる、宿泊先を知られているなどの事情があれば、医療機関や警察に具体的に伝えてください。台湾の衛生福利部の案内から、指定医療機関や地域の支援窓口を確認できます。

受診時に、診療と証拠の採取について説明を求めます

覚えている範囲で伝えます。曖昧な部分は、そのままで構いません。被害の時刻や場所、服用した薬や飲酒の有無、意識や記憶が途切れた時間は、診療や調査で確認される事項です。説明を整えてから受診する必要はありません。

衛生福利部は、証拠を残すため、できる限り入浴や着替えの前に医療機関で診察・採証を受けるよう案内しています。すでに洗ったり着替えたりした場合でも、受診や申告を諦める理由にはなりません。残っている衣類や物の扱いは、担当者に相談します。

採証には同意の問題があります。同法第17条は、診察・証拠採取について原則として本人の同意を求めています。ただし、刑事訴訟法に特別の定めがある場合、意識がないなどの場合、未成年者や意思表示が難しい人の場合には、別の要件があります。成人本人が判断できる状況かどうかも踏まえ、何を採取し、どこへ引き渡すのかを説明してもらいます。

医療者の通報義務は「被害者が24時間以内に届ける義務」ではありません

医療者、社会福祉職、教育関係者などが職務で性被害の疑いを知った場合、地方の主管機関へ直ちに、遅くとも24時間以内に通報する義務があります(同法第11条)。この時間は、被害者本人の告訴期限を定めたものではありません。

通報先やその後の連絡について、受診時に確認できます。相手や同居人に知られるおそれがある場合は、安全に連絡を受け取れる方法も伝えてください。担当者には同法第15条の秘密保持義務などがありますが、必要な行政・捜査手続への情報提供まで一切行われないという意味ではありません。

地域の支援センターは、医療、心理面の支援、緊急の保護、法律上の支援などを扱いますが、費用の補助は同法第28条と地域の規定によるため、旅行者を含め誰でも全額無料になるとは限りません。旅券や居留資格、利用した医療、支出の内容を伝え、利用できる制度を確認します。

警察や検察で話す際の付き添いと通訳

被害者の同意があれば、法定代理人、配偶者、一定の親族、医師、心理職、社会福祉職、信頼する人などが、捜査や裁判の聴取に付き添い、意見を述べる制度があります。もっとも、付き添う人が被疑者である場合や、手続を妨げる場合などには例外があります(同法第18条)。未成年の被害者には社会福祉職の付き添いに関する規定もあります。

日本語の通訳を求めます。証人として尋問を受ける場合は、言語が通じない人への通訳を定める刑事訴訟法第99条が、第192条によって準用されます。日常会話ができても、行為の内容や同意の有無、時間の前後を正確に説明できない場合は、その点を担当者に伝えてください。付き添う知人と、手続上の通訳の役割は区別します。

メッセージや写真は原文と元のデータを保存します。相手のアカウント、送受信日時、前後の会話を残し、日本語訳を付ける場合は原文と分けます。移動や宿泊の記録、診療書類も役立つことがあります。証拠を集めるために相手と再会する必要はありません。

告訴の要否と、裁判で顔を合わせる負担

台湾では、性犯罪のすべてを告訴が必要な犯罪として扱うわけではありません。刑法第229条の1は、配偶者に対する第221条・第224条の犯罪、18歳未満の行為者による第227条の犯罪を、告訴を必要とする例外としています。この例外に当たる場合には、原則として告訴できる人が犯人を知った時から6か月という刑事訴訟法第237条の期間を確認します。

裁判では、性侵害犯罪防治法第23条に、映像・音声の設備や遮蔽を使う尋問の規定があります。被害者の年齢や状態などによって取扱いが異なるため、相手と対面することへの不安を、支援担当者や弁護士を通じて具体的に伝えます。

裁判は原則として非公開です。同法第27条には、成人被害者の同意があり、裁判官が必要と認める場合の例外があります。「何も公開されない」と一括りにせず、裁判での保護と、SNSなどへの情報流出への対応を別に確かめます。帰国を予定している人は、安全な連絡先と今後の出頭方法も担当機関と相談してください。

公的な支援案内と法令

確認日:2026年10月8日。中国語の法令本文を参照しています。

よくある質問

警察に話すか迷っていても、病院へ行けますか?
診療を受けることができます。台湾の性侵害犯罪防治法第14条は、医療機関が正当な理由なく診療や診断書の発行を拒むことを禁じています。ただし、医療者には同法第11条の通報義務があります。何がどこへ伝わるかは、受診時に説明を求めてください。
シャワーを浴びたり着替えたりした後は、申告できませんか?
それだけで申告できなくなるわけではありません。体調の確認を優先し、残っている衣類、連絡の履歴、移動記録などについて医療機関や捜査機関に相談します。
台湾の性犯罪は、すべて6か月以内に告訴しなければいけませんか?
一律ではありません。刑法第229条の1には、配偶者に対する一定の犯罪や、18歳未満の行為者による第227条の犯罪など、告訴を必要とする例外があります。自分の事件に当たる条文を確認します。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。