AGC雲林の賃金争議:労働部前の陳情と組合長のハンスト、日本の親会社が押さえたい台湾の不当労働行為規制
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AGC雲林の賃金争議:労働部前の陳情と組合長のハンスト、日本の親会社が押さえたい台湾の不当労働行為規制

約8分

ニュースをきっかけに執筆した記事です。公開日以降に状況や法令が変わっている可能性があります。

Taipei Timesは2026年10月1日(CNA配信)、AGC Display Glass Taiwanの労組が賃金争議のストを翌週に控え、台北の労働部前で陳情したと報じました。従業員は月曜からのストを適法に議決しており、労組は労働部に会社側との間を取り持つよう求めました。同紙は現地の中国語メディアの報道として、組合長が工場の入口前で80時間のハンストを始めたとも伝えています。

労働部が示した見方

同報道によれば、労働部は、労組が勞資爭議處理法に沿って調停と投票の手続きを終え、適法にスト権を得たと説明しました。適法な組合活動を尊重するとし、会社側が組合員やスト参加の従業員に報復措置をとることは禁じられているとも述べています。そのうえで、雲林県政府と連携して双方の対話の場を設ける方針を示しました。

会社側の担当者は、労組と誠実に意思疎通を続けてきたとし、提案を用意したうえで労組に交渉再開を求めたと報じられています。

スト権の取得と操業への影響

同法第54条は、組合員の直接・無記名投票で全組合員の過半数の同意を得なければ、ストを宣言したりピケラインを設けたりできないと定めています。報道によれば、投票率は約9割、賛成は96%でした。組合員は従業員約1,600人のうち1,000人近くとされます。スト権を得たことと、工場の操業が実際にどこまで止まるかは、分けて見る必要があります。

第53条は、調停が不成立になる前の争議行為と、権利事項の争議でのストを禁じています。今回の争点は全従業員一律5%の昇給要求で、既存の権利の実現ではなく労働条件の変更を求めるものですから、調整事項の争議と考えられます。労働部が「調停と投票を終えた」と説明したのは、これらの要件を満たしているという趣旨と読めます。

台湾の雇用主が負う不当労働行為の禁止

工會法第35条は、雇用主が、組合の結成・加入・活動、団体交渉、争議への参加・支持を理由に、解雇・降格・減給その他の不利益な取扱いをすることを禁じ、これに違反する解雇・降格・減給を無効としています。勞資爭議處理法第8条は、調停・仲裁・裁決の期間中、雇用主がその争議を理由に休業・操業停止・労働契約の終了その他労働者に不利益な行為をすることを禁じています。同じ期間は、労働者側もストその他の争議行為ができません。

本社が「グループ方針」を示しても、これらの義務は台湾の雇用主に残ります。工會法第35条は、雇用主だけでなく「代表雇主行使管理權之人」(雇用主に代わって管理権を行使する者)も対象としているため、本社の担当者が現地の人事措置を事実上決めている場合には、その関与も問題になり得ます。争議の期間中、台湾側の通知に誰が署名するか、労組と誰が話すか、シフト変更を誰が決めるかを文書で決めておけば、後で不利益取扱いを疑われたときに、判断の経緯を説明する材料になります。

昇給比較は労組側の主張

報道では、会社が25年間一律の昇給をしておらず、日本の従業員には年5〜6%の昇給がある、という労組側の主張が紹介されています。労組は全従業員一律5%の昇給を求めています。これは当事者の主張であり、裁判所や行政機関が認定した事実ではありません。本社が手元で確認できるのは、子会社の就業規則、労働協約(あれば)、過去の昇給記録、現在交渉中の書面提案です。

昊鼎国際法律事務所へのご相談

昊鼎国際法律事務所では、調停の記録、労組が開示した投票記録、会社の書面提案、就業規則や賞与規程をもとに、スト権の手続き、不当労働行為のリスク、親会社の指示と現地雇用主の義務の関係を整理できます。本社が交渉の場や通話に加わる場合、傍聴にとどめるのか、約束できる権限を持つのかも、この段階で決めておく必要があります。スト開始時刻の予測や、委任のない団体交渉の代行は行いません。

ご相談は曾雋崴弁護士が担当します。メールはwei@hoveringlaw.com.twです。最初のメールに台湾法人名、工場所在地、調停の経緯、現在の書面提案を添えてください。住所は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2です。一般的な案内であり、個別争議の帰趨を断定するものではありません。

参照資料

確認日:2026年10月2日

よくある質問

労働部はストを違法だと言いましたか?
言っていません。Taipei Times(CNA配信)の2026年10月1日の報道によれば、労働部は、労組が勞資爭議處理法に沿って調停と投票の手続きを終え、適法にスト権を得たと説明しました。適法な組合活動を尊重するとし、会社側が組合員やスト参加者に報復措置をとることは禁じられているとも述べています。
ハンストでスト日程は変わりますか?
報道からは、ハンストによって日程が変わるとは読み取れません。ハンストは組合長による抗議行動で、現地の中国語メディアの報道として伝えられたものです。スト権は調停の不成立と組合員投票という法定の手続きを経て得られるものです。会社側は提案を用意し、労組に交渉再開を求めていると報じられています。
なぜ日本本社が台湾子会社の賃金争議を見るのですか?
報道では、日本の従業員には年5〜6%の昇給がある一方、台湾では25年間一律の昇給がないという労組側の主張が紹介されています。争議参加を理由とする不利益取扱いの禁止(工會法第35条)や、調停などの期間中の不利益措置の禁止(勞資爭議處理法第8条)は台湾の雇用主にかかる義務で、本社が方針を説明しても子会社の義務はなくなりません。工會法第35条は雇用主に代わって管理権を行使する者も対象にしています。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。

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