ニュースをきっかけに執筆した記事です。公開日以降に状況や法令が変わっている可能性があります。
選挙事務所に会場を無償で貸すことも、政治献金になるのでしょうか。中央社日本語版の10月27日付報道は、統一地方選挙を前に、台風で延期されていた候補者番号の抽選が各地で行われたと伝えました。投開票は11月28日です。
台湾の政治献金法(政治獻金法)第7条は、外国人や外国法人を寄付できる者から除いています。中華民国籍を持たない日本国籍者は、台湾での居住が長くても、この制限を受けます。台湾の口座から振り込むこと自体は、寄付資格を変えません。
内政部の解釈では、中華民国籍も持つ重国籍者は、ここでいう外国人に含まれません。ただし、第7条第1項第6号は選挙権のない人の寄付を禁じており、重国籍者にも同条の他の要件は適用されます。
現金以外の利益にも定義が及ぶ
政治献金の範囲は、振込や現金の手渡しだけに限られません。第2条は、選挙活動などを行う個人・団体に無償で提供する動産・不動産、不相当な対価による給付、債務の免除、その他の経済的利益を含めています。会場や備品を無償で提供する支援も、この定義に照らして判断されます。
同条は党費・会費・ボランティアの役務を定義から除きます。ただし、会社が会場や物品を提供することまで、一括してボランティアの役務として扱えるわけではありません。何を、誰が提供するのかによって判断が変わります。
現地法人には役員構成と持分の基準
台湾で登記した会社にも、外国人などを主要構成員とする法人についての規定が及びます。第7条第3項は、外国人などが董事長を務める場合を挙げています。さらに、董事・監察人・業務執行または会社代表に当たる株主など、各職務の総定数のうち3分の1を超える人数を外国人などが占める場合も該当します。
出資の基準は会社形態によって異なります。股份有限公司では、外国人・外国法人などの株主権が30%以上であれば対象です。無限公司・兩合公司・有限公司や一般の法人・団体では、対応する株主・構成員の人数が3分の1を超えるかで見ます。いずれかに該当すれば足ります。日本からの出資が少しでもあれば一律に禁止される、という規定ではありません。
外国関係の基準を下回るだけで、寄付資格が確定することもありません。同条には未補填の累積損失がある営利事業など、他の禁止事由もあります。登記上の名義だけでは判断できません。
名義の借用もできません。第14条は、本人以外の名義で寄付することを禁じています。寄付が禁じられる外国人が資金を出し、台湾人の同僚の名義を使っても、その外国人の寄付資格を満たしたことにはなりません。
誤って受け取った寄付の行方
受領する政党や候補者側にも、寄付資格を調べる義務があります。第15条は、外国人などからの禁止対象の政治献金について、寄付者への返還を認めていません。法定の申告期限までに申告受理機関へ納め、国庫に帰属させる取扱いです。返金では処理できません。
今回の報道は候補者番号の抽選を伝えたもので、日本人や日系企業による違反を報じたものではありません。在台の会社が支援の打診を受けた場合には、提案された会場・物品・金銭の内容と、提供元の役員・株主構成を結び付けて初めて、寄付資格を具体的に判断できます。
説明用に制作した架空の画像です。実在の選挙事務所や献金を撮影したものではありません。
参照資料
確認日:2026年10月28日
よくある質問
- 台湾に長く住んでいる日本人も政治献金はできませんか?
- 中華民国籍を持たない日本国籍者は、政治献金法第7条の外国人の制限を受け、居住期間や台湾の銀行口座を理由に寄付できるようにはなりません。内政部の解釈では、中華民国籍も持つ重国籍者はこの外国人に含まれません。ただし、第7条第1項第6号は選挙権のない人の寄付を禁じており、重国籍者にも同条の他の要件は適用されます。
- 日本企業が出資している台湾法人は、すべて寄付禁止ですか?
- 一律ではありません。第7条は外国人などが董事長を務める場合や、同条が挙げる各職務の総定数のうち3分の1を超える人数を占める場合などを定めています。股份有限公司では外国人・外国法人などの株主権が30%以上という基準もあります。会社の形態によっては株主・構成員の人数が基準になり、この外国関係の基準に該当しなくても、同条の他の禁止事由が残ります。
- 外国人からの寄付に後で気付いたら、返金できますか?
- 第15条は、外国人などからの寄付として第7条第1項第7号に違反する政治献金の返還を認めていません。受領側が法定の申告期限までに申告受理機関へ納め、国庫に帰属させる取扱いです。通常の返品や返金と同じ対応にはできません。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



