台湾の離婚手続Q&A:調停・訴訟・財産分与・子ども
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台湾の離婚手続Q&A:調停・訴訟・財産分与・子ども

約8分
開いたファイルに書類を移す場面右手で書類の束の一番上の紙を持ち上げ、左側に開いた青いファイルの内側に置きます。紙を離してから、手を右下に引きます。架空の情景

台湾の離婚では、婚姻を終わらせる手続のほかに、戸籍の整理、外国での効力、夫婦財産、損害賠償、離婚後の配偶者扶養、未成年の子に関する判断、養育費を、それぞれ分けて検討します。同じ事実が複数の請求の材料になることはあります。それでも、権利ごとに要件と効果、立証すべき事項、期間は違います。

日本と台湾のように二つ以上の国・地域にまたがる家族では、いずれか一方の国籍や婚姻届出地だけを見て手続を決めるのは困難です。先に確認したいのは、現在の生活の本拠地、すでに進んでいる裁判手続と登録の状況、文書を作成した場所、子の居住地、財産の所在地です。ここを押さえておくと、手続の重複や執行の空白を減らせます。

離婚の3つの道筋

協議離婚は、民法第1050条が定める書面、証人、戸政機関への登記の3つがそろって初めて効力を生じる身分行為です。合意書に署名しただけでは完了しません。

裁判所の調停や和解による離婚は、調停または和解が成立した時点で婚姻関係が終わります。その調書などをもとに、戸籍上の離婚登記を申請する流れです。

裁判離婚は、民法第1052条の定める事由があるときに、裁判所が判決で離婚を認める道です。判決の効力は、その手続での確定の要件に従って生じます。私的な合意だけでは足りません。

外国が絡む事件の切り分け

国籍、外国での婚姻・離婚、海外居住といった外国的要素があるときは、少なくとも次の5点を別々に確認します。

  1. 求められている手続について、台湾の裁判所または行政機関に管轄・権限があるか。
  2. 離婚、夫婦財産、子に関する事項に、どの法域の準拠法が適用されるか。
  3. 外国の身分行為や裁判が、台湾で承認され、または効力を持つか。
  4. 台湾の戸籍手続として、どのような登記と認証書類などが必要か。
  5. 他国・地域で、さらにどのような登記、承認、執行の手続が必要か。

協議離婚と戸籍登記

民法第1050条は、協議離婚の要件として書面、証人、登記の3つを別々に求めています。協議離婚は書面で行わなければなりません。署名する証人は2名以上で、双方に離婚の真意があることを直接見聞きして確認した人でなければなりません。真意を確認していない人が後から形式的に署名するだけでは足りません。登記は効力発生の要件です。これがなければ、私的な書面だけでは台湾の協議離婚は完成しません。

申請者、代理の可否、身分証明・戸籍資料、離婚書面といった実際の必要書類は、申請時点の内政部戸政司の離婚登記案内と、担当の戸政事務所への確認に基づいて準備します。外国で作成された文書は、種類と作成地によっては、台湾の在外機関などの権限ある機関による認証が必要になる場合があります。公式案内が求めるときは、認証または公証を受けた中国語訳も併せて提出しなければなりません。合意書の請求放棄条項と代理申請については、台湾人配偶者との協議離婚:署名の前に整理したい書面と登録の段取りで扱っています。

判決・調停の後の戸籍登記

離婚判決が確定したとき、または裁判所の調停・和解が成立して婚姻関係が終わったときは、原則として当事者のどちらか一方が、戸政機関に離婚登記を申請できます。この場合の登記は戸籍法に従うもので、協議離婚について民法第1050条が定める効力要件とは別の仕組みです。

申請期間は、一般に30日です(戸籍法第48条)。数え始めるのは、台湾の離婚判決が確定した日、または調停・和解が成立した日です。判決書や調停調書を受け取った日を、一律に起算日にしてはいけません。

期限を過ぎた申請も受理されます。遅れたこと自体が、すでに効力を生じた裁判所の離婚を失効させることはありません。書面で催告しても誰も申請しなければ、戸政機関は戸籍法第48条の2に基づき、要件を満たす裁判所の結果を職権で登記します。オンライン申請が使えるのは、法定の申請期間内だけです。

調停から訴訟へ、出頭と不服申立て

家事事件法の対象になる事件では、原則として、裁判所の調停が先に行われます。ただし、法令や事件の性質、手続上の地位によっては、例外や別の進み方があり得ます。すべての家事事件が動かせない一本の道を通る、とは言えません。

調停または和解が成立すれば、裁判離婚事由についての本案判決を経ずに婚姻関係が終わることがあります。訴訟に進むのは、調停が不成立のときや、法令上、調停を経ずに進めることが認められる場合などです。判決の効力は、送達、確定、そして当該裁判の手続規則に従って決まります。

本人出頭

調停では、必ず相手と同じ部屋に座らなければならないのでしょうか?

家事事件法第13条が問題になるのは、裁判所が当事者または法定代理人に本人出頭を命じた場合に限られます。正当な理由なく従わなければ、民事訴訟法第303条が準用されます。初回の過料は3万台湾元以下です。再度の適法な通知を受けても正当な理由なく出頭しなければ、制裁が繰り返されることがあります。拘引はできません。

本人出頭命令があっても、双方が常に対面で同じ部屋にそろって調停することになるわけではありません。遠隔参加、手続の分離、代理人、安全上の配慮は、法令と個別事情に基づいて裁判所が判断します。当然に認められる権利でも、当然に禁じられる措置でもありません。

不服申立てと上訴

不服申立てや上訴の経路と期間は、文書の種類、送達の有無と時期、確定したかどうか、手続上の地位によって変わります。すべての家事裁判に共通する単一の期限はありません。実際に出された文書に基づいて、正しい経路と期間を確かめます。

裁判離婚の事由と、有責配偶者のただし書

民法第1052条第1項は、裁判離婚の具体的な事由を次の10個定めています。

  1. 重婚。
  2. 配偶者以外の者との合意による性交。
  3. 配偶者の一方による、他方への同居に耐え難い虐待。
  4. 配偶者の一方が他方の直系親族を虐待し、または配偶者一方の直系親族が他方を虐待して、共同生活に耐え難いこと。
  5. 配偶者の一方が悪意で他方を遺棄し、その状態が継続していること。
  6. 配偶者の一方が他方の殺害を企てたこと。
  7. 治癒不能の悪疾(法文は「有不治之惡疾」)。法文の古い疾病表現であり、人格や道徳上の評価ではありません。医学的・法律的な基準として理解する必要があります。
  8. 重大で治癒不能の精神疾患。
  9. 生死不明が3年を超えること。
  10. 故意の犯罪により、6か月を超える有期懲役の確定判決を受けたこと。

同条第2項は、この10事由とは別の規定です。その他の重大な事由で婚姻の維持が困難なときの請求を定めています。同項ただし書は、その事由が一方の配偶者に帰責し得るときは、他方の配偶者だけが請求できるとしています。

婚姻が壊れた責任が自分にある配偶者は、離婚を請求できるのでしょうか?

この点を定めるただし書は、現行条文に残っています(2026年10月6日時点)。憲法法廷112年憲判字第4号は、ただし書を全面削除したわけではなく、有責配偶者の離婚を自動的に認める結論も、一律に禁じる結論も出していません。

同判決が違憲としたのは、重大な事由が発生し、または継続した相当な期間を考慮しないまま、婚姻破綻について専ら責任を負う配偶者から離婚の機会を完全に奪い、個別事件で明らかに過酷となる範囲です。立法のための2年の期間が過ぎても、現行条文の削除は行われていません。そのため裁判所は、この判旨を踏まえて、第2項に基づく請求を個別に判断します。第1項の各事由を書き換えたわけではありません。

配偶者が行方不明・不在のとき

配偶者が行方不明または不在のときは、根拠を3つに分けて考えます。民法第1052条第1項の生死不明が3年を超えること、同項の悪意の遺棄が継続していること、そして同条第2項のその他の重大な事由です。有責性が問題になる場合は、ただし書と112年憲判字第4号の判旨も踏まえます。

警察への行方不明届は重要な証拠になり得ますが、普遍的な法定前提ではありません。先に同居義務の履行を求める請求も、すべての事件に必須の法定前提とは限りません。数か月の別居だけでは、当然の離婚事由になりません。裁判所は、離れた理由、正当な別居事由があるか、連絡と扶養の状況、継続性、生死不明の立証、該当する項の事由が成り立つかを検討します。

外国での婚姻・離婚と台湾の戸籍手続

外国での婚姻や離婚は、台湾の単一の手続にまとめられません。成立地が外国かどうか、台湾での承認や効力を求めるかどうか、台湾の戸籍手続として何が必要か、他国・地域にさらにどんな手続が残るかの4点は、それぞれ独立した問題として整理します。中国大陸、香港、マカオの文書には、通常の外国文書の認証とは別の確認制度が適用されます。

日本で成立した協議離婚の台湾側の登記は日本で協議離婚した後、台湾の戸籍に離婚を反映するにはで、日本に住みながら離婚を考える場合の準備は日本に住みながら台湾人配偶者との離婚を考える方へ:最初の相談で整理することで扱っています。

外国の離婚または裁判が台湾で承認され、または効力を持つかという問題と、台湾の戸政機関が特定の身分記録を登載できるかという問題は、同一ではありません。

不動産の名義、残余財産差額分配、損害賠償、離婚後の扶養

民法第1030条の1の夫婦残余財産差額分配請求権、第1056条の裁判離婚に伴う損害賠償、第1057条の無過失配偶者に対する困窮扶養、未成年の子の養育費は、発生要件も算定方法も期間も違います。財産、損害賠償、扶養は、台湾の離婚と不動産の名義・夫婦残余財産差額分配・損害賠償・離婚後の扶養で扱っています。

未成年の子の権利義務・養育費・面会交流

台湾民法第1055条と第1055条の1により、裁判所は未成年の子の最善の利益を基準として、権利義務の行使・負担、面会交流など子に関する事項を判断します。民法第1116条の2によれば、父母が未成年の子を扶養する義務は、離婚後も続きます。

選んだ離婚の道筋の要件を満たしていても、離婚手続が終わった後に、子に関する事項の一部が未解決のまま残ることがあります。だからといって、「先に離婚して、子の問題は後で片づければよい」という一律の近道として勧めるわけではありません。事案ごとに、どの事項が法的にまだ決まっていないか、合意または裁判所の判断がなお必要か、安全、居所、面会交流、養育費について暫定的な保護が要るかを特定します。

子どもの権利義務、養育費、面会交流、国境を越えた転居は、台湾の離婚と子ども:親権・養育費・面会交流・国境を越える転居で扱っています。

証拠と資料の整理

証拠を整えるときに見るのは、真正性、完全性、取得の経緯、関連性です。何が必要かは、請求、抗弁、管轄、準拠法、承認、期限のどれが問題になるかで変わります。

まず身分と戸籍の資料です。婚姻・戸籍関係の記録、国籍に関する資料、住所または常居所の根拠、配偶者と子の現在の住所などを整理します。管轄、送達、戸籍手続の出発点になります。

裁判と送達の資料には、協議離婚の書面と証人に関する事情、申立書、調停調書、和解調書、判決、裁定、送達証明書、確定証明書があります。原本か認証のある写しを残します。送達や確定の時期も記録します。

外国の文書は、証明書や判決、認証・確認の状況、中国語訳、台湾または外国で済ませた、あるいは未了の承認・登記手続を分けて整理します。

離婚事由については、日付順の経緯をまとめます。適法に取得できる通信記録や、医療・警察関係の資料がある場合はその範囲を整理し、原本の媒体とメタデータを保全します。違法に証拠を作り出してはいけません。

各期限は、権利や手続ごとに正しい起算事由から数えます。申請、不服申立て、期間制限、執行の期限は、確定、調停・和解の成立、残余財産の差額を知った時、送達など、その権利・手続に合った起算事由から計算します。都合のよい非公式な日付を起算日にしてはいけません。

配偶者と子の識別情報は安全に保管し、子の私生活に関わる不要な開示は避けます。壊れやすい証拠は、適法な方法で速やかに保全します。

違法な監視、アカウントや端末への侵入、追跡、違法な録音、子の私生活の公開、報復、財産隠し、合意や裁判に反する子の連れ去りは勧められません。

公式資料

以下の一次資料は、2026年7月25日時点で確認したものです。その後の改正、判決、行政実務の変更によって、個別事案への当てはめは変わり得ます。依拠する前に、最新の条文と行政案内を再確認してください。

  1. 台湾全国法規資料庫:民法
  2. 台湾法務部法規検索システム:民法(英語版)
  3. 台湾全国法規資料庫:家事事件法
  4. 台湾全国法規資料庫:民事訴訟法第303条
  5. 台湾全国法規資料庫:家事非訟事件の暫定処分に関する規則(原題:家事非訟事件暫時処分辦法)
  6. 台湾全国法規資料庫:戸籍法
  7. 内政部戸政司:離婚登記申請案内
  8. 台湾全国法規資料庫:渉外民事法律適用法
  9. 台湾憲法法廷:112年憲判字第4号
  10. 台湾憲法法廷:112年憲判字第4号(英語版)

関連資料

本稿は、台湾における離婚、国際家事、夫婦財産および未成年の子に関する制度を一般的に解説する教育資料であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。

よくある質問

台湾の協議離婚は、合意書に署名すれば直ちに効力が生じますか?
台湾民法第1050条によれば、協議離婚は書面により行い、双方に離婚の真意があることを確認した2名以上の証人が署名し、戸政機関に離婚登記をして初めて効力が生じます。署名済みの合意書だけで離婚が成立するわけではなく、外国的要素がある場合は、準拠法、文書の認証・翻訳および他国・地域での届出も別途確認する必要があります。
裁判所の調停では、必ず双方が同じ場に出頭しなければなりませんか?
必ずしもそうではありません。家事事件法第13条により、裁判所が当事者または法定代理人に本人出頭を命じ、正当な理由なく従わない場合には、民事訴訟法第303条が準用されます。初回の過料は3万台湾元以下であり、再度の適法な通知の後に正当な理由なく出頭しない場合は、反復して制裁が科されることがありますが、拘引はできません。これは、双方が必ず同じ部屋で調停しなければならないという意味ではありません。手続の進め方は、法令と個別事情に基づき裁判所が判断します。
婚姻破綻について有責な配偶者は、裁判離婚を請求できますか?
現行民法第1052条第2項ただし書は、婚姻を維持し難い重大な事由について一方の配偶者だけに責任がある場合、原則として他方の配偶者のみが離婚を請求できると定めています。しかし、憲法法廷112年憲判字第4号は、重大な事由が発生し、または継続した相当な期間を考慮しないまま、有責配偶者から離婚の機会を完全に奪い、個別事件で明らかに過酷となる範囲について違憲と判断しました。条文は残っているため、一律に請求できる、またはできないと断定せず、裁判所が判決の趣旨と具体的事実をどのように適用するかを確認する必要があります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。