台北市の営業場所事前照会:その住所でその業種を営めるかを、賃貸借契約の前に確かめる
← コラム一覧へ台湾会社設立

台北市の営業場所事前照会:その住所でその業種を営めるかを、賃貸借契約の前に確かめる

約6分
空き店舗の入口から室内を見るガラス扉の内側からカメラがゆっくり進み、何も置かれていない室内、柱、奥のドアを映します。音声のない6秒の映像です。架空の情景

飲食店を台北で開く人が最初にぶつかるのは、店の立地より前に、その建物でそもそも飲食店を営めるかという問題です。台湾では土地の用途地域(都市計画)と建物の用途(建築管理)の両方で、営める業種が決まっています。賃貸借契約を結んでから営めないと分かると、契約も内装費も無駄になります。

台北市には、契約前にこれを確かめる手続があり、台北市政府の作業須知(臺北市營業場所協助查詢服務作業須知、2024年8月27日改正)が流れを定めています。他の都市は運用が違います。

誰が何を見るのか

台北市商業処、都市発展局、建築管理工程処の三者が「営業場所預先査詢服務平台」を共同で設けています。商業処が窓口になって案件を回し、都市発展局が都市計画の法令への適合を、建築管理工程処が建築管理の法令への適合をそれぞれ審査します(作業須知第3点)。

照会サービスは二種類です。

予先査詢。申請人が、予定している営業場所と営業項目が都市計画・建築管理の法令に合うかを市に照会し、市が結果を通知します。

隨案主動査詢。会社・商業の設立登記、移転登記、営業項目追加の登記を申請したときに、申請書に須知第5点の業種が書かれているのに、添付した照会結果にその業種が入っていなければ、商業処が職権で記入して平台に照会します(第4点)。

登記を申請するときは、予先査詢の結果文書を添付することになっています(第4点第2項)。つまり照会は「したほうがよい」ではなく、登記手続の一部です。

職権でも照会される業種

第5点に列挙されているのは、ダンスホール(舞廳業・舞場業)、酒家、バー、特種喫茶、カラオケ、サウナ、ナイトクラブ、ゲームセンター、ネットカフェ、アダルト用品小売、飲酒店、飲食店業(餐館業)、その他飲食業、マッサージ(視覚障害者によるものを除く)、足裏マッサージ、伝統整復推拿、痩身美容、競技・レジャー運動場館、運動トレーニング、自動車修理、バイク修理、自動車・バイク部品小売、その他自動車サービス、遊園地、インタラクティブ体験サービス、VR体感サービス、ペット美容、ペットフード・用品小売、セルフストレージ、レジャー活動場館です。この一覧は商業処が関係機関と協議して調整・公告できます。

飲食店、美容・痩身サロン、ジム、ペット関連の店も、いずれもこの一覧に入っています。

照会に必要なもの

予先査詢は、営業場所の建物登記第二類謄本(対象建物の登記情報が載った謄本)を提出して行います。謄本は誰でも地政事務所で、任意の住所について申請できます。台湾に来る前に照会したいときは、台湾在住の知人、家主、不動産仲介業者、または弁護士に謄本の取得を頼みます。照会の入口は台北市商業処の営業場所事前照会サービスです。

合わないと出たら

結果が都市計画・建築管理の法令に合わないときは、商業処が申請人に結果を伝え、その場所で違反する項目の営業をしてはならないことを告げたうえで、商業は7日以内、会社は20日以内に、別の適合する住所を選ぶか、不適合の営業項目を削除して再度照会するよう求めます(第6点第2項)。

合うと出た場合も、舞廳業、舞場業、酒家、バー、特種喫茶、カラオケ、サウナ、ナイトクラブの八大行業は別の処理フローがあり、それ以外は登記核准の通知書に照会結果が付記されます(第6点第1項)。

営業項目を10個登録するときは

会社登記では複数の営業項目を登録するのが普通で、将来の事業を見越して10項目前後を書くこともあります。登記申請には照会結果の添付が要りますが、第5点に列挙された業種以外は職権照会の対象ではないので、実務上は主たる業種と、一覧に入る業種を中心に照会します。一覧にない業種でも照会が免除されるわけではないことは、須知の構造上押さえておきます。

営めない場所で照会せずに開業すると、後に所管機関から処分を受けることがあります。店舗の賃貸借契約を結ぶ前、内装を発注する前が、照会の時期です。

要るのは、候補物件の住所と、予定している営業項目の一覧です。謄本の取得から照会、登記申請までは昊鼎国際法律事務所(wei@hoveringlaw.com.tw)が日本語で代行します。

参考にした公的資料

作業須知の確認日:2026年10月6日(台湾時間)。行政の運用は変わるので、登記申請の前に台北市商業処の最新の案内を確認します。

よくある質問

営業場所の事前照会は、どの業種でも必要ですか?
台北市の作業須知では、会社・商業の設立登記、移転登記、営業項目の追加登記を申請するときに、事前照会の結果を添付することになっています。さらに、飲食店業(餐館業)、バー、カラオケ、サウナ、ジム、自動車・バイク修理、ペット美容など須知第5点に列挙された業種は、申請書に記載があるのに添付した照会結果に含まれていなければ、商業処が職権で照会します。
照会で「営めない」と出たらどうなりますか?
商業処は申請人に、その場所では当該業種を営めないことを伝え、商業は7日、会社は20日以内に、別の適合する住所を選ぶか、不適合の営業項目を削除して再度照会するよう求めます(須知第6点)。その場所で営業を始めると、都市計画・建築管理の法令違反として処分される可能性があります。
台北市以外でも同じ手続がありますか?
この記事の手続は台北市政府の作業須知に基づくものです。他の直轄市・県市は運用が異なるので、所在地の商業登記窓口と都市計画・建築管理の所管課に、同じ趣旨の確認方法を問い合わせます。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。